開催日時:令和元年11月9日(土)15時〜16時
会場 :宮城県歯科医師会館 5階講堂
演題 :食育支援の重要性〜口からはじめる「健口づくり」〜
講師 :仙台白百合学園女子大学 人間学部健康栄養学科 教授 佐々木裕子先生
「食」は、動物にとって、「命」の流れを絶たないための、つまり生命維持のための基本的な営みであり、さらに必要な栄養素を摂り込むことで、成長、発達、運動等に深く関る大切な営みとなっている。
さらに、人間にとって「健やかな食」とは、「身体の栄養」のみならず、味わいや寛ぎなど「心の栄養」として心身の健康を育むことに深く関るばかりか、共に食することで人々の連帯意識が高められ、「地域づくりや食文化の醸成」にも寄与している。
しかしながら近年、わが国において予想外の進み方で超高齢社会に突入し、食育の課題も多岐にわたって存在し、少子高齢化の著しい進行により、高齢者の食の問題ならびに幼少期における食にまつわる課題が顕在化してきている。このような「食」の役割が十分に果たされていなくなっている現状に、大きな危機感を抱いている人も多いだろう。
この背景から、従来、う蝕や歯周疾患等の疾病予防を中心に行われてきた歯科保健活動は、口腔機能の獲得・維持・回復などを目指した口腔の健康を、「歯科が口腔の健康を通じて、健康を守る」という方向になりつつある。食育推進基本計画における歯科の目標の中でも、「ゆっくりよく噛んで食べる国民を増やす」という文言が述べられており、すべてのライフステージを通しての食べ方を中心にした歯科からの食育支援が期待されている。
昔は、めざし、炒り大豆、切り干し大根などの干し野菜等の硬い食品が食卓に並び、よく噛む食事だったが、現在では軟らかい食品が多く、噛む回数が減少している。噛むことの効果は高いので、ゆっくりと味わうように噛んで食事を楽しみ、健康で豊かな人生を楽しみましょう。
このように、口からはじめる「健口づくり」が唱えられ、歯科による口腔健康管理の下に、食べ方を重視するとともに、食べる機能を維持することが人々の健康寿命の延伸に大きく関わり、生活の質(QOL:quality of life)にも寄与することが示されてきていることからも、益々食支援が重要視されると言えよう。
問合せ先:宮城県歯科医師会事務局 TEL 022-222-5960
http://www.miyashi.or.jp