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Medical Tribune Doctor's Eye 2019年10月07日
西伊豆健育会病院病院長 仲田 和正
このThe Lancet「結核」総説をまとめると、最も画期的な点は下記14点ですが、
診断部分のみ抽出しました。
- 薬剤感受性結核はRFP、INH、PZA、(EB) 2カ月の後、RFP、 INH 4カ月
- 尿lipoarabinomannanで結核が分かる ! HIVでCD4<100の結核全患者で推奨!
- 低い経済社会的地位、室内空気汚染、喫煙、少ない窓は結核の強力な予測因子
- RFP耐性に遺伝子検査XpertMTB/RIF testは迅速有用、「大便」でも可能
- 潜在性結核診断にツ反、IGRA。活動性結核への進展は下記サイトで計算(The online TST/IGRA Interpreter version 3)
- 薬剤耐性検査は次の10年、 whole-genome sequencingが主流となる
- INH耐性結核治療はキノロン追加しRFP、PZA、EB+キノロン±INH
- RFP耐性結核にベダキリン(サチュロ)加えて成功率75%!
- RFP耐性に全経口:サチュロ+ザイボックス+クラビットにランプレン/サイクロセリン。6歳以下デルティバ優先
- Pretomanidで劇症肝炎? 再創出薬にザイボックス、ランプレン(ハンセン病薬)
- アミノ配糖体はもはや使用しないので超多剤耐性結核(XDR)分類の意味がない
- BCGは小児結核感染を30%減らす。新ワクチンM72/AS01登場
- 結核予防にINHに代わりRFP単独、または併用も可能
- DOTの効果は高くはない。スマホ、digital pillbox利用も考慮
ーこの中の項目2の結核診断についてー
尿LAM(lipoarabinomannan)テストと言って、結核が尿検査で分かるようになりました。肺炎球菌やレジオネラの尿中抗原と同じようなことができるようになったのです。驚きの写真をご覧ください。尿中肺炎球菌抗原やレジオネラ抗原検査とほぼ同じ簡易検査です。ただ国内ではまだ使用されていないようです(外部リンク1参照)。
尿LAMテストは結核菌の産物で、この結核菌抗原の使用は結核死亡率減少に役立っています。当初、感度が低くて「使えねえ」と思われたのですが、HIV患者でCD4<200/μLの患者で有用なことが分かりました。
IGRA(Quantiferon、T-SPOT)はCD4細胞(helper T cell)が産出するIFN-γを検出する検査ですから、HIV合併結核でCD4が低下しているとQuantiferonやT-SPOTは陽性に出にくいのです。
CD4<100cells/μLの全HIV患者で尿LAMテストが推奨されています。2018年の研究では発見率が高いだけでなくコスト的にも有用(cost-effective)でした。より感受性の高いLAMアッセイが開発されています。日本ではまだ尿LAMテストは使用されていないようです