そもそもの発端は、ある日本の小児科医が、乳幼児に母乳を十分に与えられないという母親たちの悩みに接していたことでした。
昨年、その医師は、プライスの本「食生活と身体の退化」の中に、かつてのオーストラリア・パーム島のアボリジニが、生まれた子供に授乳ができない状況の中でいかに対応したのかが書いてあるのを見つけ、恒志会に問い合わせをしてきました。
おおよそ90年前の出来事ですが、その本の著述部分は以下の文章です。
「オーストラリアの先住民が持つ素晴らしい知恵については、パーム島にある公立学校の校長が証言している。ある母親が死に、彼女が育てていた子供は、母方の祖母が面倒を見ることになった。その祖母は近年子供を産んでいなかったが、人工的な手段で母乳を与えるという伝統的な方法を実行に移した。その方法とは、ある木の葉に巣を作る新鮮な昆虫をすり潰して軟膏を作り、これを自分の胸に擦り付け、短時間の間に乳を出し、子供に自由に飲ませるというのだ。私はその昆虫を見せてもらい、その巣と、その内部にいた昆虫の群れを写真に収めた。こうした事情について証言してくれた人々はその方法の全過程を見ており、先に校長が述べた通りであると話した。彼らはさらに、このことは先住民の間ではよく知られたことであるとも言っていた。」
原著「Nutrition and Physical Degeneration」の翻訳に参加した当会副理事長の呉宏明氏にお願いをし、出版元のPPNFで保存している資料の中にその写真があるか否かを調査してもらいましたが、見つけられませんでした。
同時に、私たちは、日本の幾つかの大学と国立民俗学博物館や、オーストラリアのAcademic Lead, Indigenous Health in Palm Islandにも連絡をとりましたが、不明でした。
その資料または写真があれば、実態に近づけると考えています。
また、PPNFにはかつての資料(写真等)が眠っているのではないかと思いますので、再度調査を依頼する計画ですが、この類いの知識を持たれている方、あるいはアボリジニの伝統やオーストラリアの昆虫に詳しい方にお願いです。
ぜひ情報をお寄せ下さい。